看護研究の進め方?発表の準備と発表

発表準備

研究は、発表されることによって、価値を獲得します。したがって、発表の準備が、重要な意味をもちます。

 

  1. 抄録作成

    まず、抄録を作成します。抄録というのは、「書き抜いたもの」、「抜き書きしたもの」という意味です。
    原著論文から、必要な要素を抜き書きしたものが、抄録です。抄録に必要な要素は、「研究の目的」「研究の方法」「得られた結果」「研究の結論」の4つです。この中のどの1つが欠けても、抄録になりません。
    抄録は、「読まれるもの」であることにも、配慮が必要です。そのため、絶対にしてはいけないのが、誤字を書くことです。

     

    レベルが低い人は、誤字に気がつきません。
    レベルがちょっと上がったけれども、たいしたことはない人は、「アレェッ?これ誤字だ!誤字を見つつけた!」と、喜んでいます。
    レベルがもっと上がると、「アラッ?これ誤字ですよネ!文字を確かめなかったのかしら?辞書で簡単に確かめられるのに!文字も確かめない人の論文の、どこが確かな部分なのかしらネ?」と、中身・内容を疑い始めます。
    レベルが最も高くなると、「アラ、誤字がある。誤字を書くということは、「間違った言葉を使って考える」ということだから、この人の思考作用と思考内容は、もともと間違っているはずネ。それでは、信用することはできないわネ」と、中身・内容を信頼しません。

     

    口頭発表用演説原稿の場合は、誤字があっても、聴衆には見えません。そのため、聴衆は正しく書かれているものとして聴いています。しかし、抄録は、「読まれるもの」ですから、誤字は誤字のまま聴衆の目に入るわけです。
    そのため、誤字を見られると、中身・内容の信頼性を失います。抄録は、「残るもの」であることにも、配慮が必要です。そのためにも、絶対にしてはいけないのが、誤字を書くことです。研究発表会で、最も哀しい作業は、「発表に先立ちまして、抄録の訂正をお願い致します。○頁の○行目の○の字が間違っていましたので、○○と訂正してください。」と言わなければならないことなのです。

  2.  

  3. 口頭発表用演説原稿作成

    口頭発表用演説原稿作成は、耳と口で作るのが原則です。耳で聞き取りやすく、口で発音しやすいものであることが大切なのです。
    目と手で、つまり、「文字として書くだけ」では不十分であり、「言葉として聴く」ものであるようにします。口頭発表用演説原稿は、「聴かれるもの」であることを、意識して作ります。聴いてわかりやすいようにと配慮するのです。なぜなら、日本語には、同音異義語がたくさんあるからです。

     

    基本的には、専門用語を正しく使い、専門用語以外の言葉は、口語でわかりやすい、やさしい言葉を使うのです。
    口頭発表用演説原稿は、発表者が読みやすいものであることも大事なことです。たとえば、「乳房切除術術後の看護」を、目と手で書くことは簡単です。しかし、口に出して発音してみると、難しさがわかるはずです。
    ユックリと1回言うだけなら、何とか発音することができます。しかし、発表中の声のリズムと速度と大きさで発音してみると、すぐにとちりやすい言葉であることに気がつくはずです。

     

    発表中にとちったり、間違えたりすると、カーッとあがります。あがるとますます間違えやすくなります。そして、悪循環が起きるのです。口頭発表用演説原稿には、発表しようと思うことを全部入れて、これだけで完結するようにします。
    目をつぶり、腕を組んでしまっている人にも、必要なことは全部理解できるように作っておくのです。目をつぶっている人は、抄録や資料を見ようとしてくれません。

     

    腕を組んでいる人は、抄録や資料を開いてくれません。そのような人でも、必要な情報がわかるようにするのです。口頭発表用演説原稿のもとになるのは、抄録です。抄録に必要な要素である「研究の目的」、「研究の方法」、「研究の結果」、「研究の結論」は、そのまま、口頭発表用演説原稿に必要な要素でもあります。

     

    抄録を耳で聴くものに変えるという意識でも構いません。発表に使える時間の長さの制限にしたがって、具体的な情報を追加するという方法をとると、まとまりのよいものになります。

  4.  

  5. 図・表・スライド・動画

    作成口頭発表用演説原稿を、視覚的に補うものです。目で見ているものを聴くと、理解しやすいからです。
    しかし、目で見ているものと耳で聴いているものとがズレていると、かえってわからなくなります。
    視覚の優位性から、耳がお留守になり、せっかくの発表を聴いて貰うことができなくなります。情報を視覚的に伝えるものであるために、正確さが命です。目に見せると直観的に全体像を把握することができるからです。

  6.  

  7. 暗記と練習

    口頭発表用演説原稿を暗記しておくのは、発表者の最低限の義務です。
    口頭発表用演説原稿を作るまでの過程の中で、研究の中身・内容は、完全に頭の中に入っていると思います。それを、改めて、暗記するという形で確認します。

     

    特に、暗記をすることが必要なのは、図や表を指す人です。耳で聴いてから、図や表の該当する部分を探すのでは、遅くなりすぎます。演者の後述を先取りして、ピタッピタッと合わせるためには、図や表を指す人が、暗記している必要があるという訳です。

 

発表

発表者は、丁寧に、真筆な態度で行うことです。急がず、焦らず、ユックリと発表します。特に、聴衆の反応を見ながら行うと、うまくいきます。

 

質疑応答

  • メモ

    質疑応答の際には、発表した研究テーマ以外の質問には、無理に答えないようにする必要があります。疑問なところは、疑問なところとして、追究していない部分にまで、無理な回答をしないことです。

     

    何にでも答えなければならないという義務はありません。

     

    ただし、自分が発表した事柄に関しては、何にでも答えられるようにしておく必要があります。
    質問者は、発表した内容に関するものの糸に絞ることです発表者が発表した事柄に関してのみ、質問することができるのです。質疑応答の際に、質問内容の幅を広げすぎると、深い追究が不可能になります。

 

発表の価値

研究発表の中で、一番価値が高いのは、専門誌に掲載された論文です。

 

そのための、投稿用原稿を作成します。必ずしも採用されるとはかぎりませんが、投稿を繰り返すうちに、よい論文を書けるようになります。