講評とは

看護研究発表会などで、最後に看護研究発表会での講評方法について講評をする際に基準となる方法があります。

 

そもそも講評とは何を意味するのか、から紹介していきます。

 

 

講評の一般的な意味とは

 

まず一般的な言葉の意味から確認してみます。

講評:説明を加えながら批評すること。(広辞苑)。理由を説明し批評すること。また、その批評。(広辞林)

説明:1)ときあかすこと。 2)記述をさらに正確にし、定義づけること。厳密には記述が事物について「何であるか」「いかにあるか」を示すのに対し、説明は事物が「なぜかくあるか」の根拠を示すもので、科学的研究では、事物を因果法則によって演鐸的に把握すること。(広辞苑)

批評:事物の善悪・美醜・是非などについて評価し論じること。(広辞苑)
1)欠点・長所、あるいは是非を論じ定めること。批判。
2)善悪を判断すること。美醜を評価すること。(広辞林)

批判:物事のよしあし・長所欠点などを検討し判断すること。理論の妥当性、行動正当性などを検討し評価すること。批評(広辞林)

となっています。

 

講評の必要性

 

講評は、説明を加えながら批評すること。(広辞苑)、理由を説明し批評すること。

 

また、その批評(広辞林)なのですから、適切な講評がなされると、その研究の価値が正しく認識されます。同時に、研究を発表した人に対する、次の研究への動機づけとなります。

 

講評者は、それぞれの理由を説明しながら、研究の善悪・是非などについて評価し、論じることになります。欠点を指摘し、長所を誉め、あるいは、善悪を判断することになります。

 

したがって、一方的な批判をするだけでは、講評になりません。

 

一方的に、研究のよしあしや、長所欠点などを検討し判断されても、研究者である看護師自身が納得できないと、あまり価値はありません。

 

理論の妥当性、行動の正当性などを検討し、評価することの中に、研究者に対する共感も必要な要素です。

 

講評の準備

看護の目について

看護研究の講評を行う際の、一番のポイントは、看護の目で見ていくということです。看護上の問題を、看護的な発想で、看護的に解決していくというのが、看護研究の基盤です。

 

科学的であることも大事ですが、看護の目がズレていては、看護研究になりません。研究者がどのような看護の目をしているかにも注目する必要があります。

 

しかし、自分の看護観を、他人である研究者に押しつけることはできません。

 

型について

 

研究論文には、一定の型があります。

 

講評を行う人は、論文の型についても熟知している必要があります。研究論文のそれぞれの部分の狙いを知らずにいては、講評になりません。

 

方法について

 

方法の確かさが、科学的であるか否かを決定します。

 

研究方法が、看護の目から見て、ふさわしいものであることを、見抜く能力も要求されます。
看謹の方法として、よいかわるいかは、講評の対象になりません。研究の方法としての評価を行うのです。

 

内容について

 

内容の評価を行う際に、準拠する枠は、論理性です。論理的におかしいものは、どんなに美辞麗句を並べていても、高く評価することはできません。

 

講評者は、論文に書かれていることのみに基づいて評価、講評します。
論文に書かれていない内容を読み取ることは危険です。

 

表現上の問題よりも、内容を読み取ってくれなければ。。という要求もあります。
しかし、講評をする人は、読み取ってほしい内容を、読み取れるような表現にすることを要求する必要があります。

 

新しいものであることについて

 

研究には、常に新しいものであること、オリジナリティのあるものであることが要求されています。

 

しかし、オリジナリティのある研究テーマにぶつかるのは、研究を繰り返し行っている場合だけです。
1回目や2回目の研究では、オリジナリティを要求しても無理である場合がほとんどです。

 

理論的な根拠について

 

研究の成果を看護臨床の現場に活かすということを、せっかちに要求する人がいます。

 

講評の際に、そのことを強く要求すると、どんな研究でも価値が正当に評価されないことになります。

 

研究は、あくまでも、理論的な追究です。臨床的な応用は、また別の分野です。

 

医学の研究で、基礎的な研究が、鼠や猿を使って行われ、理論的に解明されてから、人間に応用されることを思い出せばよいのです。

 

看護臨床の現場に生かせる理論を解明するのが、看護研究です。

 

基礎的な研究と、応用的な研究をはっきりと見分けて、基礎的な研究には応用的な展開の可能性を、応用的な研究には基礎的な裏づけを、と要求するのも講評者の役割の1つです。

 

講評の準備

 

講評を行うには、それなりの準備が必要です。少なくとも、発表の1ヶ月前には、発表用の原稿の原著論文を受け取る必要があります。

 

原著論文を精読して、著者の意図を把握し、是・非・善・悪を見極めます。
そして必要な場合には、論理計算や概念規定を確かめるなどの作業を行います。

 

即席の講評は、ただの感想にすぎない形で終わってしまいますので、避けなければなりません。

 

講評の時の配慮

 

講評を行う際に、3つの要素を必ず入れる必要があります。その3つの要素の中の1つでも抜けていると、ポヤケた講評になってしまうのです。

 

その3つの要素とは、誉める、注文する、示唆するということです。

 

誉める

 

研究発表者は、自分の研究に関して、何かしら恐れている部分をもっています。
その部分を痛烈に批判され、つつかれることを恐れています。

 

講評をする際には、まず最初に誉めることです。何かしら誉める部分があるはずです。血液型がA型の人が発表した研究の場合には、誉めることが特に必要です(*^_^*)

 

注文する

 

研究論文は、完全に仕上げた心算でいるとしても、何か不足したり、欠けていたり、誤っていたりする部分があります。それらの点に目をつぶってしまうと、講評の役割を果たすことになりません。
不十分なところは、不十分であると指摘する必要があります。

 

その際には、欠点を指摘して、批判するという態度をとると、せっかくの講評を無視されてしまいます。そのため、物足りない不足している部分は、こうあってほしいと注文するのです。

 

示唆する

 

注文しただけで、解決への緒口を与えなければ、ただ欠点を指摘したのと変わりありません。
注文したなら、「こうすれば解決できるはずですよ」という示唆をするのです。

 

そのためには、講評者自身が、いろいろな研究に取り組みさまざまな分野の知識をもっていなければならないことになります。

 

論文を構成する各部分の狙い、文章表現の仕方、ロジック・レトリック・グラマーの役割、論理法則と論理計算の方法、漢字の用法、送り仮名、句読点の活用法、現代表記の方法、統計学的処理の問題などなど、いろいろなものを、正しく理解していないと、よい講評をすることが困難になります。

 

 

講評のポイント

 

講評のポイントとしては、着眼点と基準の明示です。

 

着眼点

 

まず問題になるのが、着眼点です。着眼点を見分ける視点として、どのような研究であるのかに注目する必要があります。
ドナ・ディアーは、ResearchinNursingPracticeの中で、看護に必要な理論の種類を、4つに整理しています。

 

それらは、4つの問いから、導き出されたものです。
その4つの問いというのは、

  • これは何であるか?
  • 何が起こっているのか?
  • もし。。すれば、何が起こるだろうか?
  • 。。を起こすには、私はどうするか?

というものです。

 

これらの問いに答えるものが、理論であり、各種類の理論は、それぞれ異なる目的をもっている。すなわち、記述すること、説明すること、予測すること、規定すること、である。

 

そして、そのそれぞれの問いに対する、答えとして必要な理論の種類を、

  1. これは何であるか?に対するものとして、因子を分離する(因子を解明し、命名する理論)
  2. 何が起こっているのか?に対するものとして、因子へ関係づける(状況を描写する、状況を記述する理論)
  3. もし。。すれば、何が起こるだろうか?に対するものとして、状況を関係づける(予測理論)
  4. 。。を起こすには、私はどうするか?に対するものとして、状況を産生する(規定理論)

を述べています。これをさらに細かくすると、

  1. これは何であるか?に対するものとして、因子を分離する(因子を解明し、命名する理論)を明らかにするのが、因子探索研究(Factor-SearchingStudies)
  2. 何が起こっているのか?に対するものとして、因子へ関係づける(状況を描写する、状況を記述する理論)を明らかにするのが、
  3. 関係探索研究(Relation-SearchingStudies)
  4. もし。。すれば、何が起こるだろうか?に対するものとして、状況を関係づける(予測理論)を明らかにするのが、関連検証研究(Association-TestingStudies)、および因果仮説検証研究Hypothesis-TestingStudies)''
  5. 。。を起こすには、私はどうするか?に対するものとして、状況を産生する(規定理論)を明らカオこするのが、規定検証研究
  6. (状況産生理論検証研究:Prescriptive-Theory-TestingStudies)、であり、さらに評価研究(EvaluationResearch)

であるとしています。

 

さらに、研究目的と、研究から引き出される結論が、全く異なっているものとして、内容、あるいは実質的な知識を生み出すことを目指している研究と、内容、あるいは実質的な知識を生み出すことを目指している研究の、前提となる、測定法の信頼性と妥当性を目指している研究があるとしています。

 

測定法を目指している研究は、測定法(Measurement)とD測定法検証研究(Measurement-TestingStudies)の関係であり、そこでは、測定法のレベル、測定法基準(妥当性・信頼性・意義性・感度・精度・適切性)などの追究が必要となります。

 

基準の明示

 

講評や評価を行うに際しては、その基準を明らかに示す必要もあります。

 

何と照らし合わせてどうであるのかを、明示するというわけです。アヤフヤな基準や、個人的な一方的な基準で解釈され行われた講評は、納得して聞き入れるということが困難です。

 

価値の基準ですから、どのような価値観をもっているかと密接に関係します。研究の講評の際には、理論的であるということを、最大の価値の基準にする必要があります。

 

しかし、現実には、しかし、現実には。。と、現実論を振り回す人が多いのです。

 

「現実論は、破壊の論理である。」ということを知っている必要があります。

 

現実論には、現実論で対抗する以外に、方法はありません。したがって、表面的で現象的なものに振り回され、本質的なものを追究することが困難になります。

 

講評者は、自分が講評を受けもった研究の、本質的なものをシッカリと受け止めることを要求されるのです。

 

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