評価の基準
看護研究発表会で、発表を評価をするときには、ある程度の基準となる指標が必要です。
どんな基準で評価するかについてまとめてみました。
評価の基準を示すことで、どのような点について改善すればいいのかなどが、発表した看護師としても理解できます
評価表
看護研究の評価の基準とするために、いろいろな形の評価表が、考え出され、実際に使用されています。その1つの例として、次のものがあります。
評価の着眼点(論文の構成・狙いと書き方の評価)
症例研究原著論文の評価
- どこの、誰が、何を書こうとしているのかがわかる。
- この論文の最終的な責任をとる人は、誰かがわかる。
- 研究の種類がわかる。
- タイトルが、論文の内容を、一言で、いい表している。
- サブ・タイトルで、絞ったポイントが、明示されている。
- 所属・氏名(氏名を書く順序に注意)が、正式に、全部書かれている。
- この論文の内容は、どのような構成になっているかがわかる。
- 大見出し、中見出し・小見出しの順に、内側に入るようにしてある。
- 細かく書かれており、論文構成の確認に役立つ。
- この論文に、何を書こうとしているかがわかる。
- 起承転結を使って、まとめられている。
起:
「問題提起」、「研究の意義」、「研究の性質」が、示されている。
承:
この研究テーマに、取り組むことになった、「研究の動機」が、示されている。
転:
この研究テーマについて、「今までに、どのような研究成果があるのか」が、簡単に示されている。
結:
この研究のポイントを、どこに絞るのかという、「研究の範囲」と「研究の限界」、何を明らかにしたいのかという、「研究の目的」が、示されている。
- ケースとして取りあげた患者さんは、どのような疾患なのかがわかる。
- 疾患の定義、疫学と頻度、病因、主な症状、診断、治療法、起こりやすい合併症、予後、この疾患特有の看護、などが示されている。
- ケースとして取りあげた患者さんは、どのような人であるかが、わかる。
- 患者さんの、身体的側面が、過去。現在。将来の、時間軸の中で、示されている。
- 患者さんの、社会的側面が、過去・現在・将来の、時間軸の中で、示されている。
- 患者さんの、精神的・心理的側面が、過去。現在。将来の時間軸の中で、示されている。
- 看護の実際に、直接的に関係の深いもののみに絞らず、全部を書いてある。
- 質疑応答のときに、役立つ形になっている。
- 基本的な事項を、抜けていない。
- 基本的な事項の配列に、注意が払われている。
- 看護が、どのように展開され、どのような結果が得られたかが、わかる。
- 看護過程が、正確に再現されている。
- 必要な情報の裏づけが、看護記録の中に記載されていることが、窺える。
- 看護の実際に書かれた情報には、下記のものが、全部含まれている。
・患者さんのニーズのチェック(N)、
・患者さんの訴えること(S)、
・客観的なデータ(O)、 - 医師の治療方針(0d)
- 看護の独自の目でとらえた問題(On)
- バイタルサイン(Ov)
- 検査結果(OI)
・看護診断・看護査定(Ad)と、看護上の問題点(AP)の指摘
・患者さんの到達点である、看護目標(Ng)
・患者さんが、目標に到達し、目標を達成するために、看護者側が、一貫性・整合性・統一性のあるかかわり方をするための、看護方針(Nc)、
・具体的な看護計画(P) - 観察し、チェックするための看護計画(Po)
- 治療的にかかわるための看護計画(Pt)
- 教育的・指導的にかかわるための看護計画(Pe)
- 患者さんの家族や関係者にかかわるための看護計画(Pf)、
・看護実践・経過と処置(I)、
- 看護独自の行為(In)
- 医師の指示で行ったこと(ld)
- 患者さんの要求で行ったこと(Ip)
・看護行為の結果(R)、
・評価(E) - 看護目標は、達成したか否かの評価(Eg)
- 看護上の問題点は、解決したか否かの評価(Ep)
- 看護過程の評価(En)
- 必要に応じてフィード。バックしたこと(F)など
ここが、症例研究の中心となる部分である。看護計画が、他の研究の場合の、仮説の役割をする。看護計画の必然性を論証するためには、看護目標が、最も大切です。
なぜそのような看護計画を立てたのか、看護計画の、必然性、信頼性、妥当性、再現性、一般化。法則化の可能性を、論証するための、基本的なデータの提示です。
- 看護が展開された後に、患者さんが得た結果が、文献に掲載されている結果と、どのような関係にあるかがわかる。
- ここでも、起承転結を使って、まとめてある。
起:看護計画を実践することによって得られた、結果の解釈と説明。
承:得られた結果と、看謹計画との関連、および、因果関係の検討。
転:他の研究論文の中の、結果との比較。照合。
結:看護計画の正当性。妥当性の論証。
- この研究の結果として、何を主張したいのかがわかる。
- 結論として、この論文の、最終的な判断を示してある。
- 「である。」、または、「でない」と、明確にいい切ってある。
- 感嘆文・命令文・疑問文・祈り・願望などの形になっていない。
- この論文には、何を書いておいたのかが、概括的にわかる。
- 箇条書きになっている。
- この経験を、今後の看護の中に、生かしていくつもりです。などという個人的な決意表明になっていない
- この経験を、今後の看護の中に、生かしたい。などという、個人的な願望を書いていない。
- 謝辞が、書かれている。
- この論文は、どのような学問的な根拠に、基づいているのかが、わかる。
- 文献リストが、正しく書かれている。
- 文献の著書・執筆者の名前を、ABC順に並べてある。
- 簡便法として、引用文献は引用順、参考文献はABC順になっている。
- 雑誌の場合:執筆者名:論文題名、掲載誌名、巻、号、頁、発行年が、正しく書いてある。
- 書籍の場合:著者名:書名、版、刷、頁、発行所、発行年。が、正しく書いてある。
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