看護研究のテーマの選定と対象者の選定まで

看護研究を進める中で、テーマの選定と、対象者の選定が最初の段階で決めるものです。

 

具体的な看護研究の展開の仕方で、看護研究論文の研究にかかわる人・研究メンバーの役割・研究メンバーの中にいては困る人についての解説について説明していきます。

 

 

漢語研究の基本的な態度

 

研究をスムーズに進めていくための基本的な態度として、「なるほど」、「そうかな?」、「私なら」という3つの態度があります。これは、「偏見を無くすこと」として指摘されているものですが、特に看護研究の作業で共同研究を行う際にも、そのまま活用できるものです。

 

なるほど

他人の言動や主張を、肯定的・受容的に受け入れるために必要な態度です。この「なるほど」を言えない人ない人が、すぐに口に出す言葉は、何でしょう?

 

そうかな?

いったんは「なるほど」と肯定的に受容したものを、改めて検討するときにとる態度です。デカルトのいう「方法的懐疑」に通じるものです。

 

わたしなら

「なるほど」と受け止め、「そうかな?」と疑ったものから、自分自身の新しい考え方を確立するための態度です。

 

 

研究の3つの段階

 

研究のプロセスを大きく分けると、「自ら深く探求する段階」「研究結果を発表する段階」「研究成果に関して同学の士の批判を求める段階」の3つになります。

 

1 自ら深く探求する段階

未知のものを既知に変えていく作業としての研究の第1段階です。深く探求するためには、ポイントを絞る必要があります。1つの研究では、ポイントを1つに絞るのです。アレもコレもと欲張らないことです。

 

せっかくやったのだからと、手に入れた情報や資料をみんな盛り込んでしまい、結果的には「何をいいたいのか」がわからなくなってしまう研究になってしまうことはよくありがちです。

 

2 結果を発表する段階

研究は、発表することによってのみ、価値があります。また、研究は、発表されることによって、業績として認められます。

 

3 批判を求める段階

研究成果に関する批判を求めることは、一般性・法則性を獲得し、定説となるために必要な手続きです。同じ学問領域の多くの人々の批判に堪えられることが、研究成果として認められるための条件です。

 

 

研究にかかわる人材

 

研究を進めていく際に、誰の力をも借りず、全部独力で行うことができたら、それは素晴らしいことです。しかし、能力的にも、時間的にも、能率的にも、無駄が多くなります。

 

いろいろな人の指導・助言・協力のもとに研究活動を進めるほうが、より望ましいといえます。

 

指導者

 

研究の指導者には、研究者自身と同等の責任があります。
テーマの設定は、研究者自身のものです。

 

しかし、研究のアプローチから、文献の探索、情報の収集、研究計画の策定、方法の決定、対象の決定、資料やデータの整理、論文作成の実際、文章化の問題、論理性の検討、誤字・脱字・嘘字・当て字の指摘まで、全部の問題に責任が問われます。

 

看護研究の指導者として、最もふさわしい人は、看護界の先輩です。その中で、厳しい人、うるさい人、けむたい人を選んで、指導者としてお願いするのが、研究指導者選定のコツです。

 

医師を看護研究の指導者とする場合には、看護的な感覚の持ち主であることを確認しておく必要があります。

 

医師の場合には、発想の基盤が異なる場合があるからです。研究指導者として名前が出ると、指導者としての評価もなされます。そのため、指導者として名前を出すときには、その指導者の諒解を得ておく必要があります。

 

助言者

 

個々の事象や問題解決のヒントを求めるには、それぞれの専門家の助言を求めるのが効果的です。得られた助言を看護の視点から再構成し、自分なりに再点検する必要があります。

 

助言者には、助言した内容にのみ責任があり、研究そのものには、何の黄任もありません。

 

協力者

 

文字通り協力を求めるだけです。
したがって、研究の内容には何の責任もありません。よい協力者を得るためには、自分自身のありかたを問題にされることもあります。

 

共同研究者

 

一緒に研究を進めていく仲間です。よい共同研究者と進めていく研究は、なかなか楽しいものです。
共同研究者には、それぞれの役割がある場合もあります。

  1. リーダー

    研究グループのまとめ役です。メンバー全員が、それぞれの能力、個性、特徴、感覚、持ち味を、十分に発揮できるように配慮するのが役目です。

  2. 記録者

    メンバーの発言を記録し、討議検討の過程を記録し、得られた成果を記録していきます。
    いつも整理をよくしておかないと、堂を巡りが始まりますので、責任は重大です。

  3. 報告者

    何かを調べて報告する場合と、研究のプロセスを報告する場合とがあります。

  4. 発言者

    新しいアイディアを出し、研究の方向づけを示唆する人です。特に行き詰まっている場合に、それを打破する役割をもちます。他の人の発言にも、耳を傾けることができる必要があります。

  5. 支持者

    自信が無いままに発言した人の言葉を、肯定的・受容的に受け止め、励まし、次の意見を引き出す人です。地味な存在ですが、役割としては、重要です。

  6. 企画者

    研究を、具体的に処理するための、実務的な計画を立てる人です。この人の存在が、研究の進み具合を左右します。

  7. 組織者

    企画者と協力して、具体的な手配りをする人です。実務や社会的な慣習などにも精通し、人を動かせる力が要求されます。

 

いては困る人

 

共同研究者として存在していては、困る人もあります。その人の口癖と一緒に見ていきます。

  1. 破壊者(口癖:ダメヨ、チガウ、ウソ、ホント、デモケンジツニハ、ゲンソクテキニハ)

    ダメヨと言うのは、相手の行為や発言を否定する破壊者です。
    チガウと言うのも、相手の発言を否定する破壊者です。
    ウソと言うのは、相手の発言を疑う破壊者です。
    ホントと言うのも、相手の発言を疑う破壊者です。
    ケンジツニハと言うのは、論議が発展するのを拒む破壊者です。
    ケンソクテキニハと言うのは、自由な展開を拒む破壊者です。

  2. 怠け者(口癖:アノーワタシハチョット)

    アノーワタシハチョットと言って、自分の役割を逃れようとする怠け者です。

  3. 中断者(口癖:ソウソレハ、アッソウイエバネ、スミマセン)

    ソウソレハと言うのは、他の人が発言中に横から口をはさむ中断者です。
    アッソウイエバネと言うのは、急に話題を変えてしまい、それまでの思考の流れを止めてしまう中断者です。
    スミマセンと言うのは、発表の際に言い間違えたとき、謝ってしまい、聴衆の思考の流れを途絶させてしまう中断者です。

  4. 我儘な者(口癖:アタシ、ワタシ)

    アタシ、ワタシと言うのは、自己中心的な発想をもとに発言し、自分でそのことに気づいていない困り者です。
    ワタクシとは決して言わないのが特徴です。

  5. 引っ込み思案な者(口癖:〜〜モゴモゴ)

    意志をはっきりと示さず、いつも後から文句をつける困り者です。

  6. 無責任な者(口癖:ゴメンネジツハ、コンドハゼッタイ)

    ゴメンネジツハと言うのは、やるべきことをやってこない困り者です。引き受けるときには、一番先に引き受けます。そして、必ずといってよいほど、コンドハゼッタイと次を引き受け、その結果は、ゴメンネジツハとなる困り者です。

  7. お喋りな者(口癖:ソレカラネ、ハヤクチ、ジツハネ)

    ソレカラネと言うのは、「止められない、止まらない」とばかりに、喋り続ける困り者です。
    ハヤクチというのは、自分の思考の流れの速さをそのまま言葉にしようとする困り者です。考える速さで喋くることは、絶対に不可能です。
    ジツハネと言うのは、自分達の研究を他の人達に喋くる拡声器、ないしは、広報車型の困り者です。噂話が大好きです。

  8. 解説者(口癖:ツマリソレハ)ツマリソレハと言うのは、念を押す形をとりながら、自分の独断と偏見、誤解と錯覚を他の人に押しつけて、混乱を引き起こす困り者です。

 

     

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