同時に、論理法則にしたがって、命題を記号化し論理計算の例題を行う

準備

文献を幅広く調べます。“仮説 を“検討 できるようになったら、準備完了です。
症例研究の場合は、すでに看護過程の中に、“仮説」の役割をするものがあるので、特別な準備は必要ありません。

 

仮説を立てる

  • 「オヤッ?」
  • 「アレッ?」
  • 「ハテナ?」
  • 「なぜ?」

と思ったものの中から、未知・未解決・未解明・不合理に対して、
「合理的な説明となるような仮定」を行います。

 

ここで大事なのは、「合理的な説明」であり、「説明となるような仮定」であるということです。

 

ただの「説明」ではなく、ただの「仮定」でもありません。

 

症例研究の場合は、看護過程の中での、「看護目標」・「看護方針」・
「具体策」を含む、いわゆる「看護計画」が、「仮説」の役割をしていますので、わざわざ「仮説」を立てる必要はありません。

 

 

研究計画を立てる

研究計画の中には、次のものが含まれます。症例研究とその他の研究を分けて説明します。

 

症例研究以外の研究(事例・調査・実験研究)の場合
  1. テーマ・ポイントの明確化

    テーマ・ポイントの明確化のためには、まず書いてみることです。書くことによって、頭の中にあるものを客観的に検討できる、形があるものに変えることができます。「仮説」の提示すでに「仮説」は立てられていますので、「仮説御として書くだけです。

  2. 方法の決定

    「仮説」を検証するための方法の決定をします。研究を進める方法ではないので注意が必要です。必要な場合には、プレテストを行います。

  3. 対象の決定

    「仮説」を検証するための対象の決定をします。方法と対象を決定することによって、結果が決まります。方法がl司じでも、対象が変わると、結果が変わります。方法が変わると、対象が同じでも結果が変わります。
    方法と対象はセットにして考えてください。

  4. 全体の構成

    (原案)論文が完成したとき、どのような形になるのかを、予め示します。この段階で、目次構成を行います。この作業を行うことで、研究の目鼻がつきます。あとは、全体の構成にしたがって、必要な情報やデータを手に入れると考えればよいのです。研究論文は、1つのことを言うために必要なデータを集めると考えることもできます。

  5. 時間的な計画

    研究には時間がかかります。無理なく、可能なように配慮する必要があります。特に、文献を手に入れるまでの時間と、書く時間を、十分に見込んでおきます。

  6. データの集計・整理・分析・解釈法の決定

    研究計画を立てる段階でこの作業を行っておかないと、間に合わなくなります。データの整理ができないと、それだけで、アセリを感じます。

  7. 協力の依頼

    この研究を進める過程で、指導・助言・協力を求める人のリストを作り、協力の依頼をします。謝辞の原案ができあがります。これを謝辞の素といいます。

  8. 進度表進行

    状態のチェックリストです。

  9. 研究計画書(Proposal)

    作成必要な場合に作ります。特に、公的な費用が研究費として出る場合には、必ず必要です。学生の場合には、指導者が指導計画を作るために必要になります。

 

症例研究の場合
  1. テーマ・ポイントの明確化

    他の研究の場合と同じです。

  2. 文献の整理

    文献リストを整理し、考察に特に役立つ文献がすぐにわかるようにします。

  3. 患者さんの決定

    看護過程を検証するための、素材としての患者さんを選定し決定します。患者さんを研究の対象とするのは、特殊な研究です。
    その患者さんを看護する過程の中で、何が考えられたのか、何に挫折し、それをどのように乗り越えたのか、そのときにどのような考え方をしたのかが検証され、究極的には、「看護計画」と、患者さんが到達し、達成した「看護目標」との因果関係が検討され、「看護計画」の妥当性と普遍性が検証されますので、患者さんの決定は、重要なポイントです。

  4. 情報の収集

    この研究論文を書くために必要な情報を集めます。肝心なことは、この論文で、何を主張しようとするのかということを常に意識しておくことです。この論文で主張しようとするものに必要な情報は何であるかを見極める必要があります。
    そうしないと、情報の渦に巻き込まれて、ただいたずらにもがくのみということになり、整理もまとめることもできなくなります。研究論文を書く場合と、レポートを書く場合の違いがここにあります。
    レポートを書く場合には、情報の事実をありのままに書きますが、論文の場合には、自分の言いたい結論を支持する必要な情報を集めることです。
    したがって、レポートを書く場合に必要な情報を、研究論文では省略する場合がありますし、レポートでは必要としない情報を研究論文では要求するという場合も出てきます。情報の種類としては、患者さんの身体的側面、社会的側面、生活的側面、精神的心理的側面などの情報です。それらの情報によって、患者さんの身体像、社会像、生活像、精神像が諒解可能となります。

  5. 情報の整理と取捨選択

    手に入れた情報を、過去・現在・将来の3つの時間軸に基づいて配列すると、整理をしやすくなります。当然のこととして、将来の情報はありません。しかし、将来の情報は、極めて大切な意味をもっています。
    将来の情報は、予測するものです。この予測が、看護目標を設定することにつながり、そこから看護方針を確立し、看護計画を策定することが可能になります。

  6. 全体の構成(原案)

    他の研究の場合と同じです。

  7. 時間的な計画

    他の研究の場合と同じです。

  8. 協力の依頼

    他の研究の場合と同じです。進度表他の研究の場合と同じです。

  9. 研究計画書(Proposal)作成

    他の研究の場合と同じです。

 

データの収集

計画にしたがってデータの収集を行い、整理し、分析し、解釈説明し、文献との照合を行います。

 

ここが、一番研究している気分を味わうことができる時期です。研究計画を立てる時期を頭脳労働期とすれば、ここは肉体労働期ということができます。

 

この時期で大切なことは、研究計画にしたがって整理するということです。ここでアレコレと考え始めると、まとまりがつかなくなります。

 

 

論文の作成

いよいよ論文として書く時期です。まず、自分達が得たデータと、文献から手に入れたデータを照合・比較・検討して、考察をします。

 

症例研究の場合には、自分達が展開した看護過程の中の「看護計画」の考え方が妥当であったか否かの、患者さんは目標に達したか否かの評価を行い、できれば看護計画と得た結果との因果関係を検討します。さらに、文献の中から得た、他の人の看護計画とその結果と照合し、比較し、検討し、考察します。

 

考察するということはDiscussionを行うことです。そのDiscussionを、口頭で行うのではなく、文章で行うのです。

 

考察を行ったら、いよいよ書き始めます。ここでは、書けないで悩んでいる人への解決策を示します。どのような論文でもスラスラ書ける人には、必要のない方法です。書けずに悩んでいる人は、以下の方法を忠実に実行してみてください論文を書こう書こうとしていないのに、いつの間にかできあがっていることに気がつくはずです。

 

  1. メモ化

    頭の中には、イロイロな情報が、順序不同でバラバラに入っています。それらの情報を、メモの形で書き出します。頭の中にあるだけで、まだ形になっていないものを、客観的に見ることができるような形のあるものに変えるのです。
    フト思いついてメモにしてみると、重複するものがあります。表現が似ているだけで、意味内容が微妙に違っているものもあります。表現が違っているだけで、意味内容は同じというものもあります。
    それらのものは、似ているからといって整理したり捨てたりせず、全部大事にとっておきます。共同研究の場合には、研究者が集まって、一斉にメモ化を始めると効果的です。
    「3分間で、最低8個ずつメモを作る」と申し合わせて、無言でメモ化の作業をするのです。黙ってやるのが特徴です。研究者個々の興味や関心の相違から、それぞれ差のあるメモ化がなされます。その差を大事にするから、共同研究としての意味と価値が出てくるのです。

  2. メモ配列

    メモ化が終わったら、それぞれの書いたメモを前のテーブルに並べます。
    そしてまず行うのが、メモの中の共通するもの、関連するものを集めるという作業です。
    この作業を終えたら、論文に書く際に、どのような順序で書くかを考えながら、それぞれの集めたメモを並べていきます。これがメモ配列です。全部並べ終わったら、順序が狂わないように、メモの頭と尻尾をつないでいきます。
    重ねて綴じても順序は狂いませんが、1枚1枚めくらないと、順序の確認ができません。そのため、重ねて綴じることはせず、長くつないでいくのです。

  3. メモ追加

    メモ化する際に、何か忘れてないか、何かを落としてないか、何かが抜けていないかなど、論文の中に書くべき事柄の点検をします。
    何か抜けているものがあったら、メモ化を追加して、それぞれ必要な位置に加えていきます。この作業を行うことによって、論文の設計図ができあがります。

  4. 文章らしきものメモだけでできあがっている論文の設計図にしたがって、それぞれのメモを、「主語十述語十マル(句点)」の形で、文に直します。

    この際には、誤字・脱字・嘘字・当て字があっても無視して(むしろフルに活用して)、メモを、とにかく「主語十述語十マル(句点)」に変えるのです。
    しつこく「主語十述語十マル(句点)」の形にします。
    日本語では、主語の省略が公認されています。そのため、「主語十述語十マル(句点)」の形を繰り返すと、野暮な文体になります。
    野暮を承知で、「主語十述語十マル(句点)」の形にします。
    「主語十述語十マル(句点)」の形で書かれていると、誤解される恐れがありません。
    「主語十述語十マル(句点)」の形で書かれることによって、誤解できない文章が書けるのです。
    「主語十述語十マル(句点)」の形で書くと、主語のねじれを起こすことも避けられます。
    とにかく、「主語十述語十マル(句点)」です。
    ただひたすらに、「主語十述語十マル(句点)」とするのです。

  5. 的確な表現

    全部のメモを、「主語十述語十マル(句点)」に変えたら、今度は、的確な表現になるように書き替えます。
    文章は、的確に表現されて、はじめて意味を正しく伝えるのです。そのため、自分達の意図が、十分に伝えられているか否かの観点から検討します。
    この際には、日本語を外国語として扱うのがコツです。さらに、辞書をフルに活用します。今まで無視・黙認してきた誤字・脱字・嘘字・当て字を、全部正しく書き直します。こうしてできあがったものが、原著論文となります。

     

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