担当外の患者さんからケアを頼まれた時の対応術
状況を知らない患者さんの要望は安易に引き受けない
病棟の現場の看護師は、数人の患者さんを受け持つことになります。
その患者さんが個室に入っている場合は、関係ないのですが、大部屋の場合は、他の患者さんからケアを頼まれることがあります。
「看護師さん。僕の体も拭いてください」と、患者さんから気軽に言われたときがよくあります。
そのようなときは、
- 「させていただきたいところですが、受け持ちでないのでできません。」
- 「要望は担当ナースに伝えておきますね。」
と言ってお断りします。
なかなか断りづらいかもしれませんが、患者さんに頼まれたことをなんでもするのが看護ではありません。
それが患者さんのためになるのかどうか、考える必要があります。
何をしたら悪いのかという判断ができない状況では、安易に引き受けるべきではありません。
日頃から周囲の患者さんにも目を配っておく
丁寧に断っても、患者さんの気分を害さないように、日頃から周りの患者さんにも目を配っておくことが大切です。
他のナースのケアを受けている人を羨ましく思っている患者さんが多い場合、時には患者さん同士が険悪な雰囲気になることもあります。
それを防ぐためにも、他の患者さんにも配慮が必要です。
例えば、受け持ち患者さんをケアするときは、
「今から清拭をするのでカーテンを閉めさせてもらいますね。少し暗くなるけど、ごめんなさいね。」
と隣の患者さんに声をかけます。
また、環境整備やあいさつは、ほかの患者さんにもしましょう。
朝、みんなのくず入れを見て、ゴミがあれば「捨ててきますね」と言って、一緒に行きます。
配膳や下膳にも目を配りましょう。
点滴がなくなりかけていれば、「担当ナースに言っておきますね」と声をかけると、患者さんは安心されます。
雑談するときは、ほかの患者さんも入れるような話題を選びます。
ただし、重病の人など様々な健康レベルの患者さんがいるので、大きな声で話していいのかどうか考えて判断する必要があります。
このように、日頃から周りの患者さんにも目を向けておくと、患者さんは立場を理解してくれて、ケアを頼まれることも少なくなります。
ほかの患者さんが、ケアを頼むのは、
- 「自分のことを認識して欲しい」
- 「注意をはらって欲しい」
というあわられです。
実際にケアをしなくても、気にかけていることをわかってもらえれば、それがケアになるのではないでしょうか。
こういう時こそ、聞き上手になればわかってもらえるものです。
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