男性看護師さんウエルカム!
男性の看護師さんは、精神科や手術室、透析室などではかなり前から存在していましたが、最近では、一般病棟にも少しずつ配属されるようになってきました。男性の看護師さんが、内科や外科病棟で女性の看護師とおなじケアをするようになってきたのです。
女性の看護師に比べるとまだまだ数は少ないのですが、ほとんどの女性の看護師は、男性の看護師さんがもっともっと増え、一緒に働けることを望んでいます。
看護学生時代に知った男性の看護師
直接男性の看護師さんと接した中でとくに印象深いのは、昭和の時代の看護学生時代の手術室実習のときのことです。無知な私は、そのころ、男性の看護師さんが存在することさえ知りませんでした。
その手術室の看護スタッフの約四割が男性の看護師さんで構成されているらしいことがわかり、とても珍しく、興味深く感じました。私は、曲がりなりにも、看護界に一歩踏み込んでいる立場なのに、単純に〈どんな服装してるんだろう、ナースキャップはかぶってるのかな。もしかして女っぽいタイプかな〉なんてバカな疑問を抱えながら、実習に行ったのです。
行ってみると、男性の看護師さんは医師と同じ術衣を着、患者さんを移送したり、器械出しをしたり、者さんの状態を観察したり、メカの操作をしたりと、俊敏な動きで男っぽく鋭い眼差しで立ち働いていました。ナースキャップなどかぶっているはずがありませんでした。
手術室では、医師をはじめ全スタッフが専用の術衣に着替え、頭には清潔を保つためにシャワー用に似たキャップをかぶるのです。手術室は、病棟や外来に比べると、ちょっと違った機能になっています。麻酔のかかった患者さんの移送はとても力がいるし、メカにも強くなければなりません。ですから、男性の看護師さんが当たり前に必要となる職場なのだと、そのとき納得しました。
実習中、私たち学生の間に、変な噂が入ってきました。手術室の男性の看護師さんのなかに女っぽい人が一人いるというのです。私は、実習しながら密かにその人を探していましたが、リカバリルーム(回復室)でやっと見つけました。この部屋は、手術が終わった患者さんを、病棟にお送りする前に、麻酔からある程度覚醒するまで働きかけをしたり観察をしたりするところです。
「○○さーん、わかりますかあ」
患者さんの頬を叩きながら名前を呼んでいる長身の男性の看護師さんがその人でした。声のかけ方がとてもやさしく、全身のしぐさがなんとも女っぽい。体はどちらかというと、ごつい。
最初は、なにかが不自然に見えましたが、そのうち目が慣れてきました。話の内容がとてもウィットに富んでいて楽しい人であることもわかってきました。そして、二週間の実習の最後の日に、彼は私たち学生を励ましてくれたのです。
「これからもがんばってね。あなたたち、あたしが変わってるから男性の看護師をしているのではなくて、ちょっと個性の強いあたしが男性の看護師をしているだけなのよ。看護は人間がするものなの。女だけがするものではないのよ!看護はとても素晴らしい仕事なの。そこんとこヨロシク!」
いつもの調子の高い声で話してくれましたが、「そこんとこ……」のくだりだけは、ドスのきいた男の低い声になり、思わず笑ってしまいました。「ヨロシク!」といった彼の目はとても真剣でした。
少数派の男性の看護師さんを珍しがっていただけの自分がはずかしくなったことを覚えています。
病院勤務での男性の看護師
それからしばらくたち、病院に就職して仕事をするようになってから、この男性の看護師さんが言ったことが納得できたような気がしました。
いつのまにか看護は、女性ならではの仕事ということになってしまいましたが、実際は男性と女性の特性を合わせて看護すれば、もっともっとよいサービスが提供できるだろうと実感したのです。
たとえば、ある男性患者さん。受け持ちは女医だったので、その患者さんを取り巻くスタッフはすべて女性で、その点が問題だとは考えていませんでしたが、退院後に外来の男性医師のところに通院するようになってから、彼は病気と性生活の関係について相談したらしいことがわかったのです。
その患者さんにとって、とても深刻な悩みだったようですが、それは受け持ちの女医には言い出せなかったようなのです。男性看護師がいれば、同性ということで、入院中に相談できたでしょう。
患者さんたちは、当然のことながら男と女の両方がいます。ですから、いろんな面で看護する側にも男女がいたほうがプラスになるケースが多いのです。
男性看護師についての評価
患者さんは、慣れるまで、男性の看護師について、あの人は誰?医者?と悩むようです。看護部長が男性ですが、回診時にカルテを読んだり医師と話しているのを見て、「あの人、先生?」と聞く患者さんも多いです。それから、女性である女性の看護師に対する患者の甘えのようなものが存在する関係が違ったものになると思われます。
女性みたいにギスギスしていないし、患者さんの体位交換時など力仕事では頼りになる。男性の看護師さんにはどんどん増えてほしい!
そして、女だけの世界をもっとオープンでざっくばらんな世界にして欲しいという思いもあります。
男性の看護師さんがいれば、患者の移動など力仕事の時はすごく心強いのです。そして、医師と女性の看護師の関係において、古い男女の役割分担を崩すことができるのです。
そして、看護師の職場が女ばかりでなければ良い緊張感がうまれるます。
仕事面では、力のいる時とか、女では気づかない点に気づいて教えてもらえるのが新鮮です。もっと積極的に男性の目から見た看護も展開していって欲しいですね。
これからの男性看護師に求められるもの
どんな職場でも、男性と女性がいてバランスがとれるものです。男性の看護師さんは、女性の職場だと思われているところに入って看護という仕事を体験し理解してもらえるのはとても嬉しいことです。男性の特性を生かせる部分も多いし、看護界に男性が増えることで社会的にも看護職の地位向上になりそうでよいと思われます。
物の考え方にも傾向として男女には違いがある。この違いが両者にとってとても大切なことです。女性の看護師でさえ、一緒に働いたことがある人は少ないのですから、一般の方は姿すら見たことのない方がほとんどでしょう。
これからは、入院したら検温に回ってくるのは男性の看護師ということもありますから、そのときいたずらに驚かないように、いまから男性の看護師さんの存在を十分認識したいものです。
ふれあい豊かな看護をするには、男女のバランスだけでなく、バラエティに富んだ年代や個性が必要ですからね。男性の看護師さんたちは大歓迎されています。
でも、実際に働いている男性看護師の悩みもあるんです。それは3つ 人間関係・設備・給料→男性看護師の悩み
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