老年期になって痴呆をあらわす病気は多種類ありますが、その代表的なものは老年痴呆(認知症)と血管性痴呆で、全体の70から90%をしめるといわれています。

 

老年痴呆

 

老人になると皮膚はやせて乾燥してしわがより、髪の毛は白くあるいは脱けてくるように、老化による変化が脳にも起こり、脳がちぢんで小さくなり(萎縮)、そのため痴呆が起こるものです。

 

この際には神経細胞も老化性に変化したり脱落し、その付近に老化によるしみ状のもの(老人斑)などが出現します。

 

これらの脳の変化は、初老期に起こる痴呆疾患のアルツハイマー病のそれと同じなので、アルツハイマー型老年痴呆(認知症)と呼ばれてもいます。

 

この老年痴呆では、脳のある種の蛋白(アクチン、チュブリン)の代謝の異常や、神経の働きに関係のある化学物質(神経伝達物質)の異常力ざ指摘されていて、とくにそのコリン作動系の障害が認められたりしていますカぎ、まだ決定的な原因はわかっていません。

 

血管性痴呆

 

老化による脳血管障害で、脳力ざ破壊されたために起こる痴呆状態です。そのうち数も多く、とくに有名なのは、多発梗塞性痴呆です。

 

これは老化により脳の血管が狭くなったりつまったりして、その血管がうるおしている脳領域が破壊(軟化)して、このような卒中発作が逐次繰り返されて、いろいろの脳領域に起こって(多発性)、そのためできあがるものです。

 

だから、傷害された脳部位によってあらわれる症状もそれぞれで多彩ですが、知的にはある能力は障害されても、残るよい能力なども
あって、「まだら痴呆」といわれています。

 

脳血管障害では、一般にその特徴として、「比較的急速に起こり、多少にかかわらず意識障害や神経症状をある期間示し、段階的に進行し、まだら痴呆を呈し、人格の芯が保たれていることがおおく、感情失禁を示す」といわれています。

 

     

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