生活意欲が向上し病棟業務も改善する

 

それまでオムツを使用していた患者にとって、「オムツを外してくれる」ということは、それ自体が大きな喜びにつながるんですね。排泄の自立は人間としての自信につながります。

 

トイレに座ることによる意欲の向上には想像以上のものがあります。トイレで排泄できた時のうれしそうな顔は、こちらも涙がでるほど感動しますね.

 

73歳の痴呆性老人の排泄自立の成功ケース

この男性はコミュニケーションが困難で、尿失禁状態でオムツを使用して入院してきました。ある日「おしっこがしたい」と訴えたのをうけて、6カ月を5段階に分け、オムツ外しの取り組みを行いました。

  • 第一段階(7日間)目標:個人の排池パターンを把握する。

    時間誘導の他、尿意を訴えた時はトイレ へ誘導する。
    結果:回数が少なく1回量が多い

  • 第二段階 目標:障害者トイレで排池を促す。

    時間誘導、訴え時誘導。
    結果:意欲が出てきた。漏れの回数が少なくなった。
    問題:パンパース使用のため、介助や移動が困難。

  • 第三段階 目標:パンパースを紙オムツヘ移行し、行動範囲を(昼間)広げていく。

    結果:ほとんど漏れがなくコントロールできる。
    紙パンツに変更することにより、リハビリ訓練や移動がスムーズに行えるようになり、活動範囲が広がり生活に対して意欲が見られた。
    問題:1時間ごとに訴えるようになった。

  • 第四段階 目標:ストレスを軽減する。

    結果:スタッフと信頼関係により精神面が落ち着いてきた。
    訴え時間が長くなった。

  • 第五段階 目標:フリーでトイレに!

    結果:紙パンツがとれる。一部介助でポータブル・ トイレが使用できる。
    感情障害が改善した。

6カ月後には一部介助でポータブル・トイレが使用できるようになりました。

 

オムツを使用しなくなったことで、患者の行動範囲はかなり広がり、生活への意欲が向上しています。また、スタッフと信頼関係が強まり、精神的に落ち着いて感情障害が改善するなど、大きな変化がみられました。

 

病棟業務も改善する

オムツ使用が減ることで、病棟業務の改善につながるケースも少なくありません。

  • 第1期:オムツ交換表を排泄チェックと交換。
  • 第2期:ホールから病室、病室からホールへ重 移動時にトイレへ誘導。オムツ交換壱 している患者もトイレ誘導。パットの汚染状況をチェックし排尿を促す。
  • 第3期:車イス患者のためにトイレを改造。スペースを広くし、カーテンで仕切りをする。
  • 第4期:排泄チェック表を3カ所にわけ、排泄介助責任者2人が記入もれを防止する。
  • 第5期:患者の特徴などのリストを作成する。
  • 病棟全体でオムツの使用者が15人から5人に。使用枚数が850枚から600枚に減少。
  • 排泄パターンが定着し、誘導時のあわただこさがなくなった。トイレ内の改造によりスペー スが広くゆったりと係わることができ、ゆっくりと排尿を促すことができるようになった。
  • 排世状態が明らかになったことで、涜腸の必要がなくなった。
  • 排泄に成功した患者が「気持ちいい」「もっとほめてください」と話しかけてくるなど、自然な喜びの声が聞けるようになった。

病院では従来、オムツ交換、トイレ誘導を病棟の業務に合わせた時間に実施していました。ところが、痴呆が進行する忠者が増え、衣服を自分で着脱できなかったり、便器の使用方法が分からず、トイレ以外の場所で放尿したりする患者が目立ってきました。

 

これに対し、患者のニードに沿って適切な時間にスムーズにすっきりと排泄が行えるように、5段階に分けてそれぞれ目標を立て、トイレの改造も含めて改善を行いました。すると半年後には、オムツの使用者が3分の1に減ったのです。

 

オムツ交換や浣腸などの手間が省けた分、本来の看護業務に割く時間が増えて、患者とのコミュニケーションがスムーズになるなど、病棟の業務改善にもつながっていきました。

 

>>高齢者介護でオムツをしないことの意味

 

 

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