高齢者の介護でおむつが与える3つの弊害

 

オムツは漢字で「御襁褓|と書きます。襁褓はむつきのことで、広辞苑によれば「むつき」とは「生まれたばかりの子に着せる産衣」「子供の大小便を取るために腰から下を巻くもの」とあります。

 

言うまでもないことですが、オムツはトイレで排泄することのできない赤ん坊のためのものです。赤ん坊は1歳半から3歳くらいの間に、オムツが外れ、トイレで排泄できるようになります。「オムツが外れる」ことは、世話をしてもらうだけの赤ん坊から、自立した人間への第一歩を踏み出した証でもあるのです。

 

ところが、年をとって不自由になると、再びおむつ生活に戻ってしまう。それは何を意味して、どのような弊害をもたらすのでしょうか。

 

オムツは患者さんの自尊心を傷つけて、肉体的にも様々な悪影響を及ぼしてしまいます。オムツの弊害を肉体的側面と稲神的側面から分析するしてみると、自尊心を傷つけ、肉体的弊害も大きいけど、精神的弊害もそれ以上に大きいと言えます。

 

高齢者のオムツは自尊心を傷つけて肉体的精神的弊害が大きい

精神的弊害

排泄という行為は、人間の尊厳に係わることです。オムツをつけたいと思う大人はいないし、誰もが「オムツをつけたら最後だ」と思っています。

 

だから、オムツをつけられると希望を失ってしまうんですね。中には、差恥心に苦しみ、自尊心を傷つけられ、オムツをつけられたことがショックで、自殺した人さえいます。

 

精神的なショックは、食欲の低下をもたらしたり、極度の落ち込みを招くなど、肉体的に極めて大きな影響を与えます。

 

ある医療法人で介護スタッフが実際にオムツをつけた体感は「違和感、不安感、悲壮感、不快感」など、オムツがもたらす精神的な苦痛が伝わってくる結果になりました。

 

オムツは患者から「自立心」や「回復しようとする意志」「生きる希望」などを失わせてしまう危険が極めて大きいことが分かります。

 

肉体的弊害

どんなに改良された高品質のオムツであっても、通常の下着よりはごわごわし、蒸れてしまいます。このため、あせも、ただれ、かぶれによる皮膚のトラブルが発生しやすいのです。

 

紙オムツは、尿は吸収するけど下痢便は吸収しないのです。このため、アルカリ性の便が皮膚に付着して皮膚障害を引き起こします。オムツを使用する患者の陰部や肛門部には発赤やかき傷ができやすいのです。ひっかき傷は一度できると治りにくく、炎症を慢性化させるケースが少なくありません。。

 

また、おむつをつけると尿の感覚が薄れることから、尿閉になったり便秘がちになります。便秘になると涜腸など薬物を使用せざるを得ない、といった悪循環に陥ってしまいます。

 

さらに、膀胱炎などの不安もあります。オムツ内の尿が膀胱から逆流し、汚染された菌が体内に入って、腎機能障害や感染症を引き起こすんです。

 

問題行動の誘因

オムツをつけられた痴呆の患者などは、オムツを外そうとしたり、便いじりをするといった行為をすることがあります。看護の現場ではこれを、「不潔だ」「ほかの人の迷惑になる」「そんなことをされては手間がかかって困る」と考えがちです。

 

しかし、オムツを外そうとするのは「濡れていて気持ちが悪い」といった不快感、あるいは「トイレに行きたいから下着を脱ぐ」というサインなのかもしれないです。便をいじるのも、肛門の周りが気持ち悪いので触っているということ考えられます。

 

ところが、そうしたサインに気がつかないままオムツ使用を続けていると、結果的にオムツを自ら外してしまうなど、いわゆる「問題行動」を誘発するようになってしまうんですね。

 

それは、患者をひもで縛って抑制するという事態につながっていく危険があります。「抑制」は患者の心と身体を傷つけ、食欲の低下や禅循、関節の拘縮、心肺機能の低下、感染症への抵抗力の低下、痴呆の進行など、さまざまな悪影響をもたらしてしまいます。

 

次は >>高齢者介護でのオムツ減らしの考え方と進め方

 

 

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