痴呆老人に対する対策
老人に対する各種の施策としては、昭和38年の老人福祉法、昭和48年の老人医療費支給制度、昭和58年の老人精神保健対策、老人保健法などがあります。さらに、近年では平成に入ってから数年おきに法律が定められています。
これらのなかで、痴呆老人対策も次第にとり入れられてきましたが、今後、もっと充実され、一貫した保健・医療・福祉ケア・システムが確立することが望まれています。
痴呆老人のケアのあり方
今までのケアには2つの方向があります。
その第1は、心情的なケアで、
「老人は今まで社会のため、家族のためつくしてきた。だから老人を尊敬し大切にしなくてはならない」
「老人は家にいるのが、もっとも幸せだ」
「老人に生きがいを与える」な
どといわれているように、心から老人を敬愛してケアをすることです。
その第2は、経験的ケアで、
痴呆老人をかかえた家族や、それらに対応する保健師・看護師などがいろいろな困難にぶつかって、そのつど工夫しながら解決していった経験の積み重ねによるケアです。
この2つのケアの態度は、根本的に必要なことで、これなくしてはよいケアは成り立たないと思います。しかし、これだけでは、その時、その場、その人だけに限られて、あとに統きあるいはよりよいケアの仕方を欲する人たちに、伝わりさらに改良されてゆくことが困難のようにも思われます。
そこで第3の、理にかなったケアの確立が必要になります。
これは根拠・方法・結果など、こうだからこうこうしてこうなるという、誰にでもなるほどとそのすじみちがわかって、やれば行うことのできるようなケアにすることです。